第15回失神研究会のご挨拶

 神経調節性失神って! 私が30年前に小林洋一先生のもとで研修を始めた頃、初めてヘッドアップチルトテストで失神を見た時の驚き、普通っぽい若い人がTILT台を起こすだけで心臓が止まるなんて!なんて疾患だ!と驚いたことを今でも鮮明に覚えています。それからは心臓自律神経調節機構や、神経調節性失神に興味を持ち研究してまいりました。失神の原因は多岐に渡り、神経調節性失神から不整脈による心源性失神、脳神経疾患によるてんかん失神やヒステリーなども含まれ、循環器内科だけでなく他の診療科領域におよび診断に難渋します。「失神の診断はアナムネだ!」と小林洋一先生や諸先輩方に教えていただき、確かにアナムネだけで診断がつくことやおおよその原因が特定できる症例も多いのは事実です。しかし残念ながら原因不明失神もある程度は残こるのも現実です。このような原因不明失神も近年では植込み型ループ心電計(ILR)を使用することで60%が診断できるようになり、さらにはAIの活用や医療技術、デバイス技術の進歩などなど、今後もこの分野の発展にはめざましいものが期待されます。このような失神に関する多岐な話題をまとめて議論できる研究は他にはなく、失神研究会は唯一無二の研究会です。

 この失神研究会は代表世話人の小林洋一先生が発足させて今年で16年目を迎えました。コロナ禍の2000年は休会しましたので、今年は第15回となります。コロナ禍以来web開催が続いていましたが、15回目の記念大会ということで久しぶりに現地開催とさせていただくこととなりました。また会場も原点回帰として発足時の昭和大学の講堂で開催させていただくこととなりました。昭和大学の上條講堂は年季の入った講堂になりましたので、昭和大学90周年事業で2019年に開館した新しい上條記念館での開催となります。

 この唯一無二の存在である失神研究会にぜひ現地参加していただき、往年の失神レジェンドたちに質問をぶつけ、失神診療の奥深さ、面白さを少しでも感じていただければと思います。品川区旗の台の昭和大学上條記念館で皆さまのご参加をお待ちしております。

第15回失神研究会
会長 浅野 拓
昭和医科大学医学部内科学講座 循環器内科学部門
昭和医科大学病院 循環器内科