代表世話人挨拶
失神研究会は第15回を迎え、今回はコロナ後初のオンサイト開催となります。
「失神」は、循環器の観点から見ると、突然死につながる心原性失神を決して見落としてはならないという意味で、非常に重要な症状です。一方で、起立不耐は前駆症状を見逃すと失神に至り、外傷や骨折につながる可能性があります。このような症状は若年者に多く、小児科領域で取り上げられることが多い傾向にあります。
また、院内では転倒や転落につながることがあり、特に高齢者(前回取り上げたレビー小体型認知症など)に対して注意が必要です。つまり、「失神」とは突然の意識消失発作から、起立性低血圧を呈する「起立不耐」まで、幅広いスペクトラムを持つのが特徴です。
近年では、コロナ感染の後遺症として注目されている全身倦怠症候群や体位性起立頻拍症候群(POTS)など、起立不耐を訴える患者さんが失神外来を訪れるケースも増加していると考えられます。
以上のような観点から、複数の診療科が一堂に会して「失神」をディスカッションする場を提供することは、実臨床に即した非常に有意義な会であると確信しています。
今回の当番世話人は、循環器内科医で不整脈専門医の昭和医科大学・浅野拓准教授です。浅野准教授は長年にわたり失神外来を担当されており、その豊富な経験をもとに、皆様の期待に応える充実した失神研究会をお届けできることでしょう。ぜひご期待ください!
2025年6月
昭和医科大学 医療安全管理部門 特任教授
小林洋一