代表世話人挨拶
不整脈の診断治療は症例検討がベースであり、必ずしもEBMの対象ではないと言われることがある。これは、原因が症例ごとにバリエーションが大きいことに起因することに他ならない。同様のことが失神にも当てはまる。今回の発表演題を拝見すると、いずれも一筋縄では解決できないものが多く、最新の知識を活用して問題を解決する必要がある。しかも、症状自体は至極一般的なものであるにもかかわらずである。したがって、これを解決するためには不断の知的努力を必要とする。その鍛錬を当失神研究会でなしていただきたい。
今回は、会長河野律子先生のご努力によることが大きいと思うが、特別企画として失神外来を続けるコツを片野皓介・豊田一則両先生から聞けるのが楽しみである。心原性失神の診断と治療、その経過で気を付けるべき症例検討が続き、失神診断におけるILR のUpdateを長内宏之先生から知ることもできる。循環器医にとって最も頭を痛める非心原性失神の問題点の症例検討に続き、パーキンソン病に伴う失神とレビー小体との関連を脳神経内科の村上秀友教授から講演いただく機会を得ることができる。そして、何より、参加いただけるエキスパートとの討論も今から楽しみである。
皆様も是非会に参加し、楽しんでいただきたい。
令和6年7月
失神研究会代表世話人
昭和大学医学部 特任教授
昭和大学病院 副院長 / 医療安全部門長
小林洋一