代表世話人挨拶

 失神研究会も13年が経過し、毎回、自律神経関連の失神から突然死を来す失神、てんかんなどの失神類似症状にいたるまで、幅広く活発な討議がなされてまいりました。当初から予想していた通り、クリアカットにいわゆる「失神」の原因が明らかになるのはむしろまれで、複合的な原因が絡むため、正確な病態生理の解析やそれに基づく的確な治療の難しさを毎回痛感しております。実際の臨床の場で失神は“厄介な症状”ととらえられることもしばしば経験します。学問的にも「失神」は、循環器領域のみならず脳神経領域も含まれるので、多方面のエキスパートが集まり討論する場が必要です。地道に研究を続け時代に求められる失神の診断治療が発信できるように努力することが本会に求められる姿だと確信しております。
 今後も皆様に、病態解明、診断、治療の最新の知識をご披露いただき活発な討論をお願いして私の挨拶とさせていただきます。

令和5年6月

失神研究会代表世話人
昭和大学医学部 特任教授
昭和大学病院 副院長 / 医療安全部門長
小林洋一